自縄自縛 6
その夜半。
は三蔵部屋の前に来ていた。
息を整えてドアを開けようとノブに手を掛けた・・・・・・
と同時に 中から三蔵がドアを開けた。
「ドアの前にどれだけいれば気が済む?
さっさと入れ。」が入れるように 身体をよけた。
黙ってドアを通れば 後ろで三蔵がカチッと 鍵を掛けた。
「鍵を掛けないと 逃げ出すと思うの?」
「いや 邪魔が入らないようにしただけだ。」
「それでご用向きはなんでしょうか。」
「そうとんがるな。いい女が台無しだ。」
「どうでしょうか、もう殺してもいいほどの女なのですから
そんな口説く文句は必要ないでしょう?」
「あれは・・・・」
「あれは?」
「リムジンを狙った。を撃とうと思ったわけじゃねぇ。」
「リムは 私の腹心の部下です。
たとえ 腹立ち紛れであろうと 狙って欲しくは無いのです。」
「だろうな。」
「えぇ、これからは そうお願いします。
随分怒っていたのですが、先ほどのお言葉で 帳消しにして差し上げます。
リムと約束したからと言って 三蔵があれほど庇ってくださるとは思いませんでした。
うれしかったです。」
そこで ようやくは三蔵に顔を向けた。
「私が 罪や 血に汚れていても それでも 三蔵に愛される資格があるのでしょうか?
三蔵の想い人でいることが許されるでしょうか?」
は その白く華奢な両手を 見つめながら三蔵に問うた。
「さっき 青雲も言っていたことだが、罪や血に汚れているのは 見た目の話だ。
俺から見りゃ 自身は 汚れてねぇ。
てめぇの内側の汚れや穢れというものを どうするかは 自身の問題だろう。
がダメだと思ったときには 内側から崩れて行くさ。
俺は が神女だからとか 公主だから愛しているんじゃねぇ。
たとえ が拒んだとしても てめぇは 俺に愛されていることには 変わらねぇ。
そういうことだ。」
「私自身の問題ですか?」
「あぁ は 何のために その手を汚している?」
「三蔵と共にいるためです。
みんなと自分の命を守るためです。」
「八戒が 自分の罪に対して『この手がどんなに紅く染まろうと
血は洗い流せる。』と そう言っていた。
所詮 綺麗事だけで生きていこうなど 欺瞞でしかねぇよ。」
「そうですね、血は洗い流せますね。
内側の方は 命の洗濯でもしましょうか・・・・・ねぇ 三蔵。」
は 三蔵の好きな顔で微笑んだ。
その笑顔を見て 三蔵は煙草に手を伸ばした。
「三蔵 後どの位あなたに恋をしている女の子がいるんですか?」
「あぁ?・・・知るか!」
「思い出したら ちゃんと教えておいて下さいね。
それなりに対処しますから・・・・今回のように不意討ちでは 私も気持ちを隠すことだけで
精一杯になってしまいます。」
「それは 嫉妬していたと言うことか?」
「三蔵 鈍いですよ。」
「 いい加減にしろよ!口が過ぎるぞ。
でも それなら その嫉妬を鎮めてやらねばならないな。
それに 俺を疑った罰も与えなければならないし、今夜は忙しいな。
時間が惜しい、・・・来い。」
三蔵はを 自分に引き寄せると ベッドに組み伏した。
「三蔵 ダメです。」
「今夜は 女戒を犯すと公言してある、気にするな。」
「それでも・・・・・」
「あいつらも心配していたんだ、仲直りした証拠を聞かせてやれ。
俺も の啼き声を 楽しみてぇ。」
そう言って 口付けを落とす三蔵を は止めることが出来なかった。
始めは啄ばむように優しい口付けが施される。
の抵抗をそぐように 何度も何度も 繰り返された。
身体の力が抜けた所を 深いキスへと変えられると はそれに甘い吐息で答え始めた。
入浴後のの身体は しっとりとまだ幾分湿っている。
石鹸の香りと自身の甘い香りが混じって 三蔵を誘っている。
同じ石鹸を使ったはずなのに どうしてこうも違う香りに変化するのか・・・・
三蔵は 白い肌を舐め上げながらそう思っていた。
の抵抗が なくなると、着ている衣類に手を掛ける。
布の下からは 何度見ても見惚れずにはいられない 陶器のような肌が覗く。
自分達と旅を共にすることで 何らかの傷を負っているはずなのに、何時見てもの肌は
白く滑らかで 三蔵を誘う。
たぶん 神女ゆえの事なのだろうが 三蔵はそんな の肌を愛しむように撫でる。
まるで の全てをその手と指先で確認でもするように 触らない所がないほどに
くまなく手を這わせる。
そんな三蔵の行為に は自然と 身体に熱を持つ。
愛しいという想いが 三蔵の手や指から 肌を通して に沁み込むようにさえ感じるからだった。
もそんな三蔵の首に腕を回すと うなじから金糸の髪の中に手をいれ
普段はじっと見ることさえも許さない髪を 自分のもののように愛しむ。
三蔵がにだけ許していることだ。
そして も三蔵にだけ その肢体を自由にする事を 許す。
他の誰にも 許すことのない行為を お互いに許す幸せ。
そのことに浸りながら 2人は甘い息を吐き続ける。
三蔵の唇と舌による愛撫が 手や指の跡をたどって 身体中を辿る頃には
は 三蔵の存在だけを感じ 甘く苦しい責め苦に耐えるだけになってゆく。
「さん・・・・ぞう・・・・?」
「どうした 、今夜はいつもより 濡れているな。
嫉妬が 媚薬になっているのか?」
三蔵の細いが男の指が の華を クチュクチュと水音をたてて もてあそぶ。
華芯を掠めた指に の身体は 敏感に反応した。
三蔵は 口角をあげてその様子を眺めると 己の口で の華に 愛撫を施す。
「いつもよりも 甘いな。」
「そ・・・・そんな・・・・ことっ・・・・・・」
指の刺激と 舌での愛撫に の身体は 今にも登りつめようとしていた。
三蔵は それを知っていて 指と舌を 華から離す。
「あっ・・・さん・・ぞう・・?」
「 どうして欲しいか 言ってみろ。
おまえの欲しい通りにしてやるぞ、ん?」
「そんなこと・・・・・言えません。」
「じゃあ このままでもいいのか?」
三蔵は 意地悪く華芯にわずかに触れてやる。
愛撫を待ちわびている のそこは わずかに触れられただけで 痺れるような快感を
の身体に 行き渡らせた。
「身体の方は 随分と正直に 反応しているぞ。
さあ どうして欲しいか 言え!」
三蔵の牡も の中に入りたいことには違いない。
だが 今夜は どうしてもに求められたい三蔵だった。
「さんぞう、あなたが・・・・・ほ・・しい・・です。」
「そうか 解った。
が欲しいモノに 触ってみろ。」
その言葉に の両手は 三蔵の股間に伸びた。
女の細く優しい手で 自分の牡を触られる何ともいえない感触に
三蔵は意識を持っていかれそうになる。
大きく息を吐いて それをやり過ごすと の手に導かれるままに
自分を待つ華へと 牡を突き入れていく。
全てを包み込んでくれる 熱く蕩けたの中の感触を ゆっくりと味わう。
まるで 自分の生まれた根源へと帰るような 暖かく安らげる場所、
そして 男としての自分を駆り立ててくれる場所、
の華の中は 三蔵にとって 誰にも渡したくない場所でもある。
三蔵とは 自然と刻みだす 身体のリズムにしたがって
互いを高みへと連れて行こうとする。
それぞれが相手を感じることだけに集中し、自分の身体全てで 攻め立て受け止める。
愛の渦に2人して かき回されている様な感じになる。
三蔵の注送のスピードがひときわ速くなる。
それに反応して の嬌声が高くなり より三蔵を煽る。
「さっ・・・んっ・・・・・ぞうっ・・・・・・・・・・もうっ・・・・・」
が限界に達しようとしていると 三蔵に伝えた。
「あぁ・・・・俺もだ。」
涙で潤んでいる瞳には 正確には三蔵の姿を映す事はできないだが、
シーツから引き離した手を差し出せば 三蔵の手がそれを握ってくれた。
「はっ・・・・はなさ・・ないで・・・・おねがっ・・・いっ・・・・・。」
今のことだけではない その言葉は の心からの願いだと三蔵にもわかる。
「んっ・・・・つかまっ・・・・・てろっよ。」
2人には それがやっとの会話だった。
の華が突然に収縮して 三蔵の牡を攻め立てた。
さすがにそれには 耐えられず 三蔵も己を放つ。
の中は 三蔵を離さず いまだ締め付けている。
肩で息をしながら を見れば すでに意識を飛ばした後の安らいだ顔になっている。
額に汗で張り付いた髪を 指先でそっと払ってやる。
握り合った手はそのままだ。
「俺が を離すわけねぇだろ。
このまま こうして 何処までも一緒だ。」
握った手の甲にキスをして 三蔵もの隣で眠りについた。
-----------------------------------------------------